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2018年センター試験「生物基礎」「生物」、考察力がポイントになる

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週末はセンター試験が開催されました。生物系のサイエンスライターだし、せっかくなので生物科目の問題を解いてみることにしました。果たしてサイエンスライターと名乗るにふさわしい点数を獲得することができるのか!?(6年連続使っている文章のコピペ)

「生物基礎」、正しい文章の中から正解を選ぶ難問

問題と解答は予備校各社のサイトにあります(河合塾東進駿台代ゼミ)。お好きなところをどうぞ。

まずは文系学部系の「生物基礎」。50点満点で僕は50点と、2年連続の満点でした。生涯現役!

今年は計算問題がない代わりに、細かい知識が要求されました。染色体にはDNAだけでなくタンパク質も含まれていること、植物のバイオームで気温と降水量の区分まで覚えてないと答えづらい問題がありました(センター試験ってバイオームが好きだよなあ)。

クセのある問題としては第1問の問5(解答番号5と6)。皆さんも考えてみましょう。

遺伝を担う物質がDNAであることを明らかにした研究成果を2つ選べ。
1. 白血球の核などを多量に含む傷口の膿に、リンを多く含む物質が存在することを発見した。
2. 病原性のない肺炎双球菌に対して、病原性のある肺炎双球菌の抽出物(病原性菌抽出物)を混ぜて培養すると病原性のある菌が出現するが、DNA分解酵素によって処理された病原性菌抽出物を混ぜて培養しても病原性のある菌が出現しないことを示した。
3. DNA中のアデニンとチミン、グアニンとシトシンの数の比がそれぞれ1:1であることを示した。
4. DNAは2本の鎖がらせん状に絡み合って構成される二重らせん構造のモデルを提唱した。
5. エンドウの種子の形や子葉の色などの形質に着目した実験を行い、親の形質が次の世代に遺伝する現象から、遺伝の法則性を発見した。
6. バクテリオファージ(T2ファージ)を用いた実験において、ファージを細菌に感染させた際にDNAだけが細菌に注入され、新たなファージがつくられることを示した。

選択肢を選ぶ問題の場合、文章が正しいかどうかで判断するのが普通ですが、上の選択肢はすべて事実として正しいものです。何を判断するかというと、問題文にある「遺伝を担う物質がDNAであることを明らかにした」かどうかです。

正解は2と6。1は核にDNAがあること、3はDNAの塩基の相補性、4はDNAの構造を示しただけです。5はメンデルの実験ですが、これは遺伝現象を明らかにしただけで遺伝を担う物質までは特定できていません。

この問題は、知識を身に付けているかだけでなく、問題文が何を求めていて、それに答えられる選択肢はどれかということを考える必要があり、あまり例のないスタイルです。

「生物」、考察問題と計算問題で時間がかかりそう

理系学部向けの「生物」は100点満点で僕は97点と、受験生のときも含めて過去最高得点でした。生涯現役!

こちらは例年通り、基礎知識と考察問題が入り交じった構成でした。今年は考察問題の文章量が多く、時間配分を考えないと時間切れになってしまいます。計算問題も見慣れないものがあって苦戦するかもしれません。

例えば第5問の問2(解答番号2)は、異なる生物における塩基配列から分岐した年代を考える問題。9000万年前に分岐した種Aと種Bは6箇所違うので、1箇所変化するのに9000万年÷6 = 1500万年かかると推測でき、A種とC種とでは2箇所違うので3000万年前に分岐したと推測されます。

考察問題でひっかけになりそうなのは第3問の問5(解答番号7)。遺伝子XとYの2重変異体では効果が掛け算になるかもと考えがちですが、遺伝子Yが遺伝子Xを抑制していることがわかっているので、遺伝子Yのはたらきに関係なく遺伝子Xの変異体xと同じ結果が得られそうと推測されます(が、これは実際にやってみないと断言できません)。

目新しい問題としては第7問の問3(解答番号3)。ある仮説を支持する実験結果が得られたとして、その実験結果の数値を答えるというもの。条件も少し複雑なので難易度はかなり高いです。

あと、花粉管の伸長はかなりの頻度で出ているので、重複受精と合わせてしっかりおさえておくのがよさそうです。

2021年開始の「新テスト」のフラグ?

「生物基礎」も「生物」も、今までにないタイプの問題が出てきたのは、おそらく2021年から新たに始まる「大学入学共通テスト(仮)」が関係しているのかもしれません。新テストでは思考力・判断力・表現力が要求されるため、それに向けたフラグとみることができます。

「生物」は結局2次試験でさらに難しい問題に挑むので、その前哨戦くらいでいいかもしれませんが、文系向けの「生物基礎」は暗記するだけではなく、知識を蓄えたうえでの考察力を身に付ける必要があるでしょう。普段から「これがこうなったらどうなるかな?」という意識をもつだけでも考察力は身に付きます。

以下、来年の受験生や、はるか前に受験生だった大人たちへのおすすめ図書です。