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個人向け遺伝子解析サービス「ジーンクエスト」レビュー(3)結果報告

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個人向け遺伝子解析サービス「Genequest(ジーンクエスト)」の結果が届きました。DNAで1文字だけ違う一塩基多型(スニップ)を調べ、どんな健康リスク、体質を持っているのかを調べるものです。

アクセスする方法

申し込んだのが1月29日、キットが到着してサンプルを送ったのが2月6日、結果がきたのは3月6日です。サンプル発送からちょうど1ヶ月でした。

解析が終わったよ、というメールが届くので(なぜか午前0時11分に届いた)、マイページにログインします。すると、こういう画面が表示されます。

3月6日時点でアクセスできるのは「健康リスク」と「体質」。「薬物反応」と「祖先解析」は未対応です。また、生データ(調べた30万スニップのタイプ)のダウンロードもできません。

僕の肺腺癌リスクは?

「健康リスク」をクリックすると、リスクの高い項目、低い項目、平均的な項目順に表示され、オッズ比(リスク)も数値で評価します。

現時点では健康リスクには35項目があります。ここでは、比較的リスクが高いと評価された「肺腺癌」を見てみましょう。「詳細へ」をクリック。

まずは概要が表示されます。「データの信頼性」とは、論文でどの規模の集団で調べているかを意味します。一つ星は100人未満の小規模な集団、二つ星は100人以上750人未満の集団、三つ星は750人以上の集団を対象とした研究結果があることを示します。四つ星は、750人以上の集団を対象とした研究結果が複数ある、または研究者コミュニティにおいてデータの信頼性が高いと広く認められていることを示します。

また、人種によってスニップの効果が異なることが知られています。「アジア人エビデンス」では、根拠となる論文でアジア人または日本人を対象にしているかどうかも教えてくれます。

注意書きとして、リスクが高い=必ず発症する、リスクが低い=必ず発症しない、ということではないと明記しています。

下にスクロールすると、疾患の特徴や予防方法が書いてあります。肺腺癌は喫煙、受動喫煙によってリスクが高まるそうです。

そして、これが僕のスニップのタイプです。肺腺癌では2箇所のスニップを調べています。rs10937405のスニップがCT、rs2853677のスニップがCC。それぞれオッズ比(リスク)は0.89倍、1.62倍なので、かけ算すると1.44倍となるわけです。

その下には疾患の特徴や予防方法の記述のために参考にしたウェブサイトや、研究機関のプレスリリースが書いてあります。でもクリックできず、URLをコピーして自分で貼り付ける方法です。

最後に、根拠とする論文が記載されています。

根拠とする論文へは、スニップデータの下にある「このマーカー情報はこちらの研究報告に基づいて記載しています」をクリックするとアクセスできます。アメリカ国立医学図書館の国立生物工学情報センターが運営する、医学・生物学分野の論文検索サービス「PubMed」のページに移動します。rs10937405のスニップの場合、この論文を参考にしています。さらに右上のバナーをクリックすると、掲載雑誌のページに移動できます。

これが1次ソースとなる論文。実際には日本人と韓国人の集団で調べていることがわかります。ただ、この論文はオープンアクセスではないため、お金を払わないと全文は読めません(無料で読めるかは論文や雑誌によります)。

僕のBMIは?

今度は体質を見てみましょう。体質については、体の特徴が36項目、食品・異物への反応が15項目、血液成分などが21項目、性格などの特徴が7項目あります。

今回は、一番身近なBMIを見てみます。「詳細へ」をクリック。

基本的な画面構成は健康リスクとほぼ同じですが、こちらでは数値評価をしていません。

スニップデータでも、3段階のざっくり評価となっています。これを見ると、僕はBMI値は一般的な数値になりやすいそうです。ちなみに、現実の僕のBMIは17.3。毎回、健康診断の総合判定でB判定をくらうくらいの低体重です。あれ(´・ω・`)?

そういうバラツキの大きさも含めての、ゲノム解析サービスです。 これはジーンクエストがどうのではなく、そういう性質を持ったものなのです。

これからのアップデートに期待できる出来

データの信頼性やアジア人エビデンスの有無を明記するなど、第一印象としては非常によくできていると思います。特に、他の参照ウェブサイトが記載されているのは、より多くの情報を手に入れたいと考えているユーザーに対してとても親切と言えます。

ゲノム解析サービスについては、行動神経科学が専門の宮川先生が著書(下に掲載)のなかで、まともなサービスが最低限満たすべき条件を述べられています(206ページに掲載)。

1.学術研究のデータを使った数値的な資料が出ていること

2.集団の平均値に与える効果を示しているにすぎないことが明記されていること

3.スニップの名前が明記されていること

4.根拠となるオリジナルの学術研究論文が明記されていること

ジーンクエストは、その最低限の条件は満たしていると言えます(部分的にオッズ比がないのは気になりますが)。宮川先生がジーンクエストの社外技術アドバイザーに入っているので当然と言えば当然なのですが。

一方で、思っていたよりも調べる項目やスニップが少ない、という印象もありました。サービスの説明のページでは約5,000スニップ、200項目を調べるとありますが、現時点のマイページで見ることができるのは114項目、154スニップでした。この点については、常にアップデートを行うはずなので、少しずつ項目が増えていくだろうと思います。

初期費用が49,800円とやや高めですが、自分のゲノムは基本的には一生変わらないので、ちょっと未来を体感してみたい人は試してみるのもおもしろいと思います。

なお、アンジェリーナ・ジョリーで有名になった乳がんリスク(BRCA1遺伝子の変異)など、1つの遺伝子で疾患につながるようなものは、本サービスには含まれていません。そのあたりの事情の考察は、次回に書こうと思います。

遺伝子解析サービスに関することはmy genomeタグにまとめてあります。ぜひご覧ください。

 

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