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DeNAの遺伝子解析サービス「マイコード」は今後のスタンダードになるか

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DeNAがヘルスケア事業に参入し、その第一弾サービスとして遺伝子解析サービス「MYCODE(マイコード)」を提供することはすでに発表されていましたが、本日はその詳細が明らかになりました。記者会見に参加してきたので、その様子も合わせてお知らせします。

他の遺伝子解析サービスを凌駕する内容

宮野教授からは、主に解析についての紹介です。日本人仕様に合わせるため、アメリカのデータベース(NIHのGWASカタログ)を見直し、場合によっては根拠となる論文の著者にも確認したようです。その結果、日本人向けの新しい予測モデルを作りました。モデルに用いられているスニップ(一塩基多型:ゲノム上の個人差)の約20%は、GWASカタログには掲載されていない情報を新たに抽出したものだ、と強調していました。なお、p値が5.0×10-8以下の場合を統計的有意と見なしており、かなり厳しめの基準をとっています。

会場で展示していたサンプル採取キットの見本(サービス開始時には変更になる場合があります)

続いて南場取締役ファウンダーが挨拶をして、サービスの詳細は深澤社長が行いました。マイコードでは3種類のメニューを用意。僕が一番驚いたのが「オールインワン280+」というフルパッケージ版。29,800円(税別)で75万スニップを調べ、283項目を扱います。この中には40種類のがんリスクも含まれています。

これは驚異的です。日本国内で最も豊富に扱っているのがジーンクエストですが、そこでも49,800円で30万スニップ、200項目です。全てにおいてマイコードが優位に立っています。

他のメニューは、19,800円(税別)でがん25項目を含む100項目を扱う「ヘルスケア100+」、9,800円(税別)でがんを除く体質35項目を扱う「カラダ30+」です。

また、分析は外部機関に委託するところが多いなか、DeNAは機器からスタッフまで全て自社で用意します。解析は医科研のスペースを間借りするのですが、医科研の機器や職員は関わらないようです。全部自社でまかなうためか、解析は1~2週間で済むとしています(他のサービスでは1ヶ月ほどかかるところがほとんど)。

報道陣向けに公開していたラボで、マイクロアレイ解析のデモ画面

さらにマイコードでは、例えばカリウム不足についてはオススメレシピも掲載する予定なのですが、栄養管理士が監修するそうです。さらにアフターサポートについては、なんと認定遺伝カウンセラーや臨床心理士が社員として対応します。一部のアフターサポートは有料オプションになる予定です。

マイコードのサービス開始は8月中旬と、当初の予定より遅れることになりました。この理由については、カウンセリングなどのサポート体制を十分にするためと説明しています。なお、事前予約をアマゾンで受け付ける予定です。

その他、気になったこと

以下は、個人的に気になったことです。

まず、他の遺伝子解析サービス全般にも言えることですが、家族性腫瘍(アンジェリーナ・ジョリーの乳がんのようなタイプ)や、治療法のない遺伝性疾患(筋ジストロフィーなど)は扱いません。これらは医療行為になるからで、そのあたりの事情はこちらの記事(個人ゲノム解析サービス「ジーンクエスト」レビュー(4)教えてくれないこと)で詳しく述べています。また、美的センスや頭のよさといった、いわゆる才能に関することも現時点では扱いません。

調べた75万スニップについては、研究用に提供してもいいかをユーザーが選択できます。他のところでは、研究用に使うのを前提として同意することが多いので、選択肢があることは評価できます。

ただ、調べた75万スニップの生データはダウンロードできません。調べた中に深刻な疾患と関わりがあることがわかったときにフォローできない、個人パソコンでセキュリティを保証できない、などを理由にあげています(なお、海外のゲノム解析サービス「23andMe」は生データをダウンロードできます)。

さらに、医科研と共同で構築したモデルについては、研究機関向けなどに無料公開する予定はないそうです。医科研と共同で構築したのならば、間接的にとはいえ、いくらかの税金は投入されているはずです。それならば他の研究機関なども活用できるように広く還元すべきではないか、と考えることもできるのですが、今のところその予定はないとのことです。

遺伝子解析サービスのスタンダードになるか

はっきり言って、他の類似サービスを全て駆逐して、一気に業界トップに躍り出る可能性があるくらいのハイレベルなサービスです。見かけ上の数値もそうですが、盤石なサポート体制には目を見張るものがあります。特に注目すべきは、認定遺伝カウンセラーを社員として採用していることです。認定遺伝カウンセラーを直接採用しているゲノム解析サービス事業者を、僕は他に知りません。

前回の記者会見では、DeNAは医科研と1年近くにわたって協議してきたと言っていました。流行っているから便乗しようという浅はかな考えではなく、かなりの本気度を感じさせる内容となっています。あるいは、世界のスタンダードになりうる可能性も秘めています。

こういった類いのサービスは、信頼性が第一です。医科研と共同研究していることも含めて、マイコードにはかなり期待できると言えます。サービスが始まったら、実際の内容などを紹介していきます。

遺伝子解析サービスに関することはmy genomeタグにまとめてあります。ぜひご覧ください。

 

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