2016年センター試験「生物」は再び暗記科目へ

life science

週末はセンター試験が開催されました。生物系のサイエンスライターだし、せっかくなので生物科目の問題を解いてみることにしました。果たしてサイエンスライターと名乗るにふさわしい点数を獲得することができるのか!?(4年連続使っている文章のコピペ)

生物基礎は教科書を理解しておけば問題なし

問題と解答は予備校各社のサイトにあります。ここでは東進へのリンクを紹介します。

生物基礎

生物

「生物基礎」は50点満点で35点。去年とまったく同じ点数でした。ホルモンやバイオームあたりで不正解が多かったです。去年も同じことを書いていたので、来年はこのあたりを事前に予習して挑もうと思います。

暗記ものが多かったので、教科書の単語を理解していればそんなに難しくないと思いました。そのぶん、現場から離れた僕には辛い試験となるのですが。

生物基礎でもDNA→mRNA→タンパク質という流れに関わる転写、翻訳という単語を習うんですね。初めて知りました。

癖のある問題が多い生物

「生物」は100点満点で73点で、去年から5点ダウンでした。植物の重複受精やアウストラロピテクスの特徴なんて覚えていません(アウストラロピテクスって生物よりも歴史の最初というイメージがあるのですけど……)。実験考察問題はほぼ完璧でした。

いくつか、癖のある問題を紹介します。第2問の問2は、タンパク質Xがあるandタンパク質Yがないところで分化能をもつので、まずXが分化能をもつために必要だとわかります(回答1番)。そして、XがあってもYがあると分化能がなくなるので、YがXのはたらきを抑制していると考えられます(回答5番)。

続いて第2問の問4。雌しべがFFでは種子になる確率が100%なのに、雌しべがFfになると50%になること、雄しべはFFでもFfでも種子になる確率が変わらないことから、遺伝子Fは雌しべ側、選択肢でいう胚のうで機能すると考えられます。図5のFF個体では助細胞の一つと花粉管が破裂するのに対して、図6、つまりFf個体では両方とも破裂しないことから、遺伝子Fは助細胞の片方と花粉管を破裂させる機能があると推測できます。

実はこのあたりの現象を友達が研究していて、去年『Cell』に論文が掲載されました。

植物の受精~受精後、ライブイメージングで全貌解明 | ハイライト論文 | 名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部

お話は名古屋大学理学部の広報誌にもあります。第29号の4ページからの特集「受精をめぐる細胞たちの物語」です。王女と王子に例えた中世ヨーロッパ風のお話なので、よろしければどうぞ。

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さらに第3問の問5。これは難問でしょう。オーキシンの濃度が高いと根に分化することを知っていないと解けません。変異体xで根に分化したので、この細胞塊ではオーキシン濃度が高い、問題文でいうRxが最も高いことになります。次の問6は、オーキシンもサイトカイニンも含まない培地で培養したとありますが、最初の問題文に「遺伝子XとYが植物のゲノムに組み込まれて」とあるので、培地には関係なくそれぞれの植物ホルモンが作られ、カルスのまま成長すると考えられます(が、前提条件が少なすぎるので何ともいえない気がします)。

最後に第6問の問3。PCRの増幅量の計算問題です(いつからPCRは当たり前のように出てきたんだ……)。最初のゲノムDNA0.01 μgのうち、400塩基対の重さは0.01 x 400 / 4億 = 1 x 10^-8 μg。PCR後は0.1 μg、つまり1 x 10^-1 μgなので10^7倍(1000万倍)に増えたことになります。一般的にはPCRで100万倍から1000万倍に増えるので、そんなもんかなと僕は計算せずに答えられてしまうのです。

生物は暗記科目ではないはず

ところで、僕が現役だった16年前に比べて、遺伝子の変異体を使った実験考察問題が多い印象をもちました。変異体を作ったり見つけたりするのって大変なんですけどね……。

去年に比べると分子生物学の問題は減り、2年前に近い雰囲気となりました。教科書の単語の意味を覚えていれば、そこそこの高得点はとれると思います。

ただ本音を言うと、生物は本来暗記科目ではありません。実験を通して、タマネギの薄皮を剥くようにひとつひとつの現象を解き明かしていく学問です。もちろん必要な背景は覚えなければいけませんが、本当はいろいろなことがどんどん明らかになっていく、わくわくする学問です。

 

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